日々、是レ、気ママニ育児ト育自。

モットーは『何とかなる』。スカパラライブに行ける日は来るのか!?
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『金木犀の人』 extra
ある秋のことだった。


その日は日曜日で、彼はアパートの駐車場で、朝から愛車を洗車していた。
わたしは洗濯と掃除。


洗濯機がピー、ピー、と洗濯が終わったことを知らせた。
洗濯物をかごに移し、ベランダへ運ぶ。
窓を開けたときだった。

ふわん。と良い香りがした。


(あれ?いい匂い。。何の匂いだっけ??)


あ。そうだ。
金木犀の香りだ。
金木犀、どこにあるんだろう??


「ねぇ。金木犀の匂いがするね!」
と、わたしはベランダから彼に話しかけた。
「え!?何??聞こえない!」
どうやら、ホースから勢いよく出る水の音で聞こえなかったようだ。
彼は一度、水を止めて、
「なに~?」
と聞き返した。


「金木犀の匂いがするよ。どこにあるのかな?」
「キンモクセイ??」

「うん。ほら、良い匂いがするでしょ?」


彼は金木犀がわからなかった。
鼻をヒクヒクさせて、匂いをかいだ。
それでようやくわかったらしく
「ああ。この匂いの事ね。これなら、アパートの入口のトコにある木だよ」


(木??木なんてあったっけ?)


わたしは入口に行ってみた。

あった。


建物の二階へ続く階段の脇にその木はあった。

いつも通りからアパートに入る角度だと、微妙に見えにくい所だった。


金木犀はまだ三分咲きだった。
赤黄色の花がちらほらつき始めていた。


(ふ~ん。けっこう大きい木なのに気づかなかったな。)


それから数日経ち、金木犀の花はどんどん咲いていった。
いつの間にか満開を迎え、アパート周辺には金木犀の香りが立ちこめていた。
近付くとむせかえるほどだった。


でも、部屋の中に入り、窓を半分くらい開けると、
ちょうど良い量の香りになっていた。


次の年も、その次の年も、金木犀は満開に咲き誇っていた。


あれから10年以上が経った。
わたしはもう、あの金木犀を見ることはない。
いまでも、あのアパートはあるのだろうか。
それさえもわからない。


ただ、金木犀が咲く頃になるとふと思い出す。
彼と、彼と一緒に過ごした日々のことを。


そして、今わたしは幸せだと、心からそう思う。


どうか、あなたも幸せでありますように。。。


もう、二度と会うことはないけれど。


ありがとう。
ありがとう。。


さようなら。。。
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『金木犀の人』 epilogue2
それからは一切ヤクとは連絡も取らず、もちろん会うこともなく
わたしは毎日同じ生活を繰り返していた。


きっとヤクは予定通り結婚しただろう。
幸せに暮らしているのだろう。


たまにそんなことを思った。


わたしだって、ヤクには幸せになってほしかった。
それは本心だ。
でも、今の自分があまり幸せに思えなくて、素直にヤクの幸せを祝えなかった。
だから、結局あのメールには返事をできずにいた。
もう今更、することもできないし。。。


ふと、ヤクが作っていたホームページをのぞいてみた。
もう消しちゃったかな?と思った。
すると、ページはまだ存在していた。
更新はずっと止まったままだったが、わたしのイラストのページも残っていた。
ただ、『ヤクの大切な人』と言う説明は『ヤクの大事な友達』となっていた。
別れてから初めて見たから、いつ変えたのか、わからない。
でも、消さずにいてくれた。


それから、わたしは仕事をがむしゃらに頑張った。
相変らず、と言うよりも、初めのころよりさらに激務となっていた。
早出、残業も当たり前になり、最繁忙期の12月は朝6時に家を出て、家に帰ってくるのは日付が変わる頃だった。
12月31日。
その日は福袋の準備や、セール準備で大忙しだったが、なんとわたしは過労で倒れてしまった。
もう、限界だった。
年が明け、異動希望を出した。
たまたま地元のある店舗に空きがあり、そこに異動することが決まった。


こうして、わたしはその年の4月に引っ越して地元へ帰ってきた。
大学進学から、丸10年の1人暮らしが終わった。


引越しの日、ヤクにメールした。
『実家に戻ることにしました。』
内容はそれだけだった。
もうアドレスは変わってるかもしれない。
でも、ダメ元で送信した。
メールは戻ってこなかったので、とりあえず、送れたようだった。


それから数日経って、ヤクから返事が来た。
新しい生活に追われていたわたしは、ヤクにメールしたことをすっかり忘れていた。


『KAZU、がんばれよ。いつも応援してる』


うれしかった。
ただ、うれしかった。


それには返事を返さなかった。
それで終わりにした。


その後もちろん、ヤクと連絡を取ることはない。
風の便りで、ヤクは2児のパパで幸せそうだということを知った。


わたしの中でたった一つ心残りがある。
それは最後にヤクに言ってしまったあの言葉だ。


『許せない!!わたしのこと、あれだけ傷つけておいて、自分はさっさと結婚して
幸せになろうとするなんて、絶対に許せない!!』


ひどい事言った。


あのあと、何度も謝りのメールをしようと思ったけど、できずにいた。
そしてそのまま、もう会うこともなく、連絡を取ることもない。
ヤクは、この言葉はもう憶えていないかもしれないけど、
もしいつか、どこかで偶然ヤクに会うことがあったら、謝りたい。
いつか、笑顔で会える日があれば。。。





毎年、金木犀が咲く頃になると、ふと思い出す。
あの頃のことを。
そして、今、わたしは幸せだと、思う。


                        Fin・・・
『金木犀の人』 epilogue1
しばらくして、わたしはダメ男とやっとのことで別れることができた。
ヤクとは相変らずたまに会い、たまにわがままを聞いてもらっていた。
彼がいなかったわたしは、わりと自由に過ごしていた。




その日も終電を乗り過ごしてしまったわたしは、途中の駅までなんとかたどり着き
そこからヤクに電話した。


わたし「もしもし、ヤク?また終電乗れなくて、今T駅なんだけど、迎えに来て」
ヤク 「・・・、無理」
わたし「え?お願い!!来て。タクシーもものすごい並んでて。お金もないし・・・」
ヤク 「・・・わかった、行くよ。」


それから1時間くらい待ち、ヤクが来てくれた。


でも、何となく、いつものヤクと違った。
口数が少なかった。


もうすぐウチに着く頃、ヤクが言った。
ヤク 「KAZU、これからはちゃんと終電に乗れるように帰ってこい。」
わたし「???なんでそんな事言うの?」


ちょうど、うちのアパートの前に着いた。


ヤク 「もう、迎えに行ってやれないから。」
わたし「え・・・?」
ヤク 「・・・。オレ、来月結婚するからさ。」


頭が真っ白になった。
ヤクが結婚???


ヤク 「結婚したら、もうこんな夜中に出て来れないから。もう、迎えに行けないからさ」


それを聞いて、わたしは自分でも思いがけない言葉を口走ってしまった。


わたし「許せない!!わたしのこと、あれだけ傷つけておいて、自分はさっさと結婚して
幸せになろうとするなんて、絶対に許せない!!」


そう言って、わたしは車を降りて、勢い良くドアを閉め、振り返らずに
一目散に自分の部屋へ走って帰った。


ヤクが結婚する。ヤクが結婚しちゃう。。。
涙があふれた。
悲しいやら、寂しいやら、独りぼっちにされてしまったような気がして。
そして、あんな暴言を吐いてしまったことに対して。。。
なんてひどいことを言ったんだろう。


すると携帯のメール着信が鳴った。
ヤクからだった。


『最後までKAZUを傷つけて、本当にゴメンな。オレは来月結婚する。
だからもう、KAZUのことこうやって迎えにいってやることはできない。
オレが言えた事でないのはわかってるけど、オレはKAZUにはずっと笑顔でいてもらいたいと思ってるよ。
KAZUは絶対に幸せになれる力を持ってるよ。がんばれ。
いつだって、KAZUの幸せを願ってる。』


涙が出た。


何がいけなかったんだろう。
どこでずれてしまったんだろう。。。
わたしはヤクと幸せになりたかったのに。
ヤクと幸せになれると思っていたのに。
気づけば、こうしてもう2度と同じ道は歩けない。


わたしは、そのメールに返信することができなかった。
その夜はいつまでも涙が止まらなかった。
『金木犀の人』 episode45
なんとなくヤクに電話をかけた。
平日の昼間だ。
会社員のヤクが出ることはないだろう。
出ないことを前提でかけたのだ。

が、何とヤクは電話に出たのだった。


ヤク 「KAZU?どうした?珍しいじゃん。」
わたし「ヤクこそ、なんで電話に出るの?会社は?」
ヤク 「あぁ、今日は午前中用事があって、そのまま有休取ったんだ」
わたし「これからヒマ?」
ヤク 「うん、別にすることないよ。昼飯でも行くか?」


そして、久しぶりにヤクと会うことになった。


それからだった。
時々会って、ご飯を食べに行くようになった。
でも、もちろんそれ以上はなく、友達として会うようになった。


ただ、わたしは彼がいると言っても『ダメ男』なので、ヤクと会ってる時間のほうが
楽しかったし、心も安らかだった。
『恋愛感情』とは違うが、ヤクに対して、友達以上の感情を持つようになった。
ヤクに彼女がいるのもわかってるし、ヨリを戻したいと言うわけでもなかった。
たぶん、仕事も正直辛かったし、プライベートも荒んでいて、
ヤクといる間だけ、現実逃避ができたからだと思う。


そのうち、わたしはだんだんわがままになっていった。


例えば、仕事帰り友達と飲みに行って、終電に乗り遅れ、途中の駅までしか帰れなかった時。
もう日付が変わったくらいの時間だと思う。
ヤクに電話をして迎えに来てくれと頼んだ。
その駅はヤクの家から、車で小1時間は掛かるところだ。


この深夜のお迎えは何度かあった。


文句を言いつつも、それでもヤクは迎えに来てくれた。
たぶん、ヤクは心のどこかにわたしに対して罪悪感を持っていたのだと思う。
『金木犀の人』 episode44
1年が過ぎた。
あれからヤクとはたまに電話で話すことはあったが、会うことはなかった。
なんとなく、普通の友達のようになっていた。


この頃、わたしにもヤクにもお互い付き合ってる人ができていた。
ちなみに、わたしの相手はタケ君ではない。
このときも「男運ゼロ」効果で、はっきり言ってダメ男だった。。


フリーターで1人暮らしは、厳しかった。
なので、わたしはバイトを辞め、就職をするために職探しをしていた。
いくつか面接を受けた。
事務系も受けてみた。
が、やっぱり、事務系はあっさり不採用。
合格通知を受け取ったのは、やっぱり販売職だった。
でも、ヤクと付き合っていた頃のように悩むことはなかった。


そしてわたしは、無事に新しい仕事に就いた。
それが今の仕事だ。


はじめの勤務先は新宿だった。
仕事はとてもハードで、残業も多かった。
通勤だけでもヘトヘトで、その上残業して帰ると、帰宅は22時なんて普通だった。



疲れ果てて家に帰ると、例のダメ男が堕落した生活を送っていた。
この男は当時無職で、しかも自分のアパートがあるにもかかわらず、
ほとんどわたしのアパートに入り浸っていた。
まるで、あの頃のわたしだ。
でも、わたしとは違う。
この男は、別に家事をするわけでもなく、ひたすらゲームをして過ごしていた。
起きるのは昼過ぎだし、寝るのは明け方近く。
わたしの生活は妨害されていた。


そんな状態なので、もちろんケンカは尽きなかった。
そのうち、手を上げるようになってきた。
別れたかったが、この男は意地でもウチから出て行かなかった。


帰りたくなくなってきたし、休みの日も家にいたくなかった。


ある休みの日、わたしは1人で当てもなく出かけた。
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